感想温泉はてな亭

諸々、ふれたもの、こと、に関しての感想を記していきます。

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幸田真希先生『梅酒』マックガーデン 感想。


ジャケ買いです(断言)。
黒髪にセーラー服の少女が胸に手をあててこちらを見つめる表紙に、
見事誘われてしまう、という……。
帯の「元書店員激賞!!」の惹句は訳わかりませんが(笑)。


短編集となっておりまして、
全体としては読後感で勝負、の印象でした。
どことなく寂しさ、悲しさを匂わせながら終わる、
というのが好みで、
そういう作品もあったり、ひっかかりを感じるものもあったり。
私としては凄い当たりを引き当てた感じです。
では、各作品の感想を軽く。

『梅酒』

女子中学生と中年公務員のちょっと切ないお話。
出会い方がちょっと……ですけれど、
そこから、とあるキッカケで交流が深まっていく展開がまた、素敵です。
お話の軸になる詩もうまく作品中に引用されており、
綺麗な絵柄と相俟って、独特の雰囲気を醸し出しているかと思います。


こういう恋のお話は大好きです。

『女神の条件』

すごい好みをもつ男だな……
と思った一方で、どこかで同意する自分もいました……。


自由に、麗らかに笑ってる女の子は可愛いよね、うん。

『blessing20XX』

クリスマス無限ループに陥った無職の男が
ループ中に恋におちて……。
クリスマスの無限ループ、というのは、
ほんのお話上のエッセンスで、
終わらない、延々と続く日常、というように読み替えても
十分にいけるので、
一見、奇妙なお話にみえる割に、さっくり感情移入できてしまいました。


お店で見かけた女の子が可愛くて、好きになって、
思い切って、日常からの脱却を試みるのですが……。
ラストはどうなのでしょうね。
ちょっと引っかかる終わり方で、これはこれで気に入りましたが、
もうすこしなんとかならなかったかなぁ、
などと思ったりも。

『日溜まりの欠片』

祖父の葬儀に参列するも、
しばらく会っていなかった祖父のことがピンとこず……
というお話。
終盤の流れ、新しい出会いを予感させる展開が良いかと思います。

『家族には秘密がある』

父に兄妹の三人家族の強固な関係の中、
割り込みをかける後輩男のお話。
ちょっとカゲはあるのだけれども、
暗い過去は見え隠れするのだけれど、
明るく前向きな後輩と、これもまたあかるい妹のこれから、
が楽しみになる終わり方で、とても良いな、と思ったことでした。
後輩と妹のキャラクターがなければ、
もっと重い話になっていそうですが、
この二人で、うまく、爽やかに着地できているように思います。

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