古味直志先生『恋の神様古味直志短編集』集英社感想。

アニメ『ニセコイ』で知った、
古味直志先生の短編集『恋の神様』、購入してみました。
６つの短編が収録されており、ボリューム満点！　です。
タイトル的には恋愛モノを期待してしまいそうなのですが、
表題作の『恋の神様』と『ニセコイ』がラブコメなくらいで、
他作品はわりと普通に少年マンガしている感じです。
『ニセコイ』を期待して読み始めると、
良い感じに裏切られるかも？　と思います。
私もちょっと驚きつつも、
「こういう短編っていいな……」と思いつつ読み進めました。

なお、『island』については
古味直志先生の『ダブルアーツ』１巻にも収録されているので
注意ですね。

では、各作品の感想をば。

『island』赤マルジャンプ・H19年WINTER号

閉ざされた世界の中で、外界へ出ることを夢見る子どもたち。
色々と諦めた大人達。
主人公のマルとアイラも勿論、外の世界を目指すのですが……
終盤の展開が見事で。
少年誌掲載作品ではありますけれども、
わりと大人が読んだ方がグッとくるかも……などと、
思った次第でした。

『恋の神様』週刊少年ジャンプ・H19年20号

転校生に一目ぼれする主人公なのですが、
その転校生に近づこうとすると、何故か色々な邪魔が入って……。

ラブコメ、です。
登場人物に『ニセコイ』にも出てくるキャラクターがいて、
なんだかニヤリ。設定的にも繋がりがあるのかしら？

お話自体は結構派手にドタバタ、ですが、
転校生の持っている性質からすると仕方がないところ。
破天荒な展開に若干、取り残されてしまったかしら、私。

『ウイリアムス』週刊少年ジャンプ・H19年49号

冒険物語に夢見る名家のお坊ちゃんが、
行動力を発揮して自ら大冒険に。

お目付け役のメイドさんが程よいツッコミ役となって
お話に関わってきて、良いまとまりになっているような。

子どもの頃の夢、だったり、
何かのキッカケでそれを諦めたり……
そんなこんなを思いださせてくれる作品なので、
ちょっといいな、と思ったのでした。

『ペルソナント』ジャンプSQ.H20年12月号

SF風味なお話。
差別をなくすため、皆が制御装置を兼ねた仮面を身に着けて
生活している世界。
予め、就くべき職業など、色々はそれに決められて。
外見、階級にいたるまで差を無くし、平等に……
というのが"ペルソナント"。

その"ペルソナント"を巡る色々。
もちろん、悪用を企てる者がいて、解放を求めるヒーローが登場して。
読者をひっぱるレポーター的キャラクターも
自然に動いていて、スッと世界観にハマれて、
楽しかったです。

こういう未来を描いたお話も悪くないですね。

『APPLE』週刊少年んジャンプ・H21年4・5合併号

危機を脱するため、
地球自らが生み出した究極生命体点……
APPLEこと新宮サトシにまつわるお話。

何にでも変身できる、等の設定には正直、
若干引き気味だったのですが、
登場人物がイキイキしている好青年、なので
最後まで楽しめたかしら。

『ニセコイ』ジャンプNEXT! H23年WINTER号

現在連載中『ニセコイ』のベースになった？
読み切り短編。
楽と千棘は、ほぼそのまま。
実家がヤクザ＆ギャング設定だったり、
子どもの頃に出会っていて、約束があったり、
恋人になることを強制されたり……。

読み切りなので展開ははやいですが、
なるほど、『ニセコイ』だな、と思える作品です。
楽が連載の方に比べてカッコいいですけどね(笑)。
ちら、と出てくる楽の好みの女性の話が
小咲のベースになったりしたのかしら？　とか、
妄想が膨らんで楽しいです(笑)。

『ニセコイ』が好きなら、
読んでおいて損はない読み切りかと。