感想温泉はてな亭

諸々、ふれたもの、こと、に関しての感想を記していきます。

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大西巷一先生『ダンス・マカブル〜西洋暗黒小史〜』1巻 KADOKAWA / メディアファクトリー 感想。

Kindle版にて。
購入時はセールで少々、買い求めやすいお値段でございました。
紙の方は入手しづらいのかな……
内容的にも癖は強めなので、
数を刷るのは躊躇しそうよね、とは読んでみると思う。


もちろん、セールだったのもありますが、
購入に至ったのは作家さんに興味があったのが大前提で。
『乙女戦争』が面白く、追い始めており。そうなってくると、過去作も読んでみたくなりますよね。
在庫がなくなることがない、というのは大きいですね……。


肝心の内容は……ホント、好みがわかれるところだと思います。
”暗黒小史”とある通り、かなり暗い、と申しますか。
どのお話も死と繋がるお話ばかりで。
理不尽であったり、残酷、であったり、
どことなく漂う"正義"の気配であったり……。
死には至らしめないまでも、近しい感情の何かは、
身の回りにあるのかも、という気分になったり。
笑って読み飛ばせる作品ではないですが、
とても興味深く読める、そんな……。


ということで、収録作品の感想をば。

■「ジャンヌ・ダルク処刑裁判」前編・後編

いきなり飛ばしてるな、というお話で。
なるほど、こういうペースでくるのね……と思わせるには十分な。


ジャンヌ・ダルクの生い立ちだったり、
周辺状況から描くのではなく、捕らえられてから裁判にかけられ、
処刑されるまで……
迫力……というか、無力感をひたすら感じながら処刑の場面まで。


読後の感想は……もったいない!!
題材からして、ちゃんと長く描いてもらいたいなぁ、と。
ジャンヌ・ダルクを。
とは言っても、掲載してくれる雑誌なり媒体があって、
との話ですから難しいのは重々承知なものの。
……バッドエンドが約束されたお話、ですから、
さらに厳しいでしょうけれど、もっと前段から読みたかった。
そんな短編でした。

■「残虐皇帝カリグラ」前編・後編

良い塩梅で狂っている、というのか何なのか。
どこかしら、正気を保っていて……のラストなのかしら。
隊長に肩入れしつつ読み進めましたが、
なんともつらいお話で……。

■「スペイン異端審問」前編・後編

異端、って日本では耳慣れない感じでありますが。
これもしんどく……
どのように拷問を正当化して受け入れていくのか。
その過程が……
誰でもこのように残虐な行為を正義、として
疑問を感じずに行えるようになるのか……
と、妙な納得を感じつつ。


今の世界的なニュース等と照らし合わせ、
あまり、人類は成長していないのね、と。

■「鮮血の貴婦人」前編・後編

これを読むまで知らなくて。
検索してみると、ドラキュラのお話のベースになったとか、
ならないとか……。
タイトル通り、血なまぐさいお話で。
真骨頂? なのかも。
狂気に飲み込まれていく感覚がなんとも……。

■「十字架のイエス」前編・後編

あのイエス様のお話。
聖人、というよりは親しみやすいフリーダムな方、
そんな描かれ方で、ちょっと"を?"と思いました。
視点は従者の女性なので、
客観的なところで観ることが出来。


十字架がどういう刑なのか、
どのように死に至るのか、も詳細に描かれておりまして。
死刑って、昔は苦痛をいかに与えて死に至らしめるか、で、
近年はいかに痛みを和らげて死を迎えさせるか、
なところが……って、国によるところも多いでしょうけれど。
『図説 死刑全書』を思い出しつつ読んだことでした。

図説 死刑全書

図説 死刑全書

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