感想温泉はてな亭

諸々、ふれたもの、こと、に関しての感想を記していきます。

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石田敦子先生『いばら姫のおやつ』少年画報社 感想。

いばら姫のおやつ (ヤングキングコミックス)

いばら姫のおやつ (ヤングキングコミックス)

たまたま書店で平積みになっていた『球場ラヴァーズ』を、
カープ応援マンガって何?」と、
ベイスターズファンの私が手にとり、
プロ野球を応援する熱さに感動し……
勢い、石田敦子先生ファンになって購入した一冊でありますが、
長らく積んでおりました……スミマセン。


11年前? の本……私、その頃何歳でなにしてたよ? と思うと、
胸が熱くなりますけれども。


確かに、今の作品に繋がるルーツ、みたいなもの。
作家性というか、そういう、振れない芯がみえる。
そんな短編がギュッと詰まっていて、とても満足できる作品集でした。
いままで読んでいなかったのが勿体ない、と思えたものの、
精神的に弱いときにはかなりヤられるオーラを放っているので(笑)、
私的には、ある程度、精神的に余裕のあるときに
お手にとられることをオススメ致します。


では、収録短編ごとに感想をば。


軽くネタばれがあるかも、なので、
そのあたりはご容赦くださいませ。

『いばら姫のおやつ』

表題作、です。
全3話+プロローグ・エピローグ。
題名のとおり、
姫、と呼ばれてもおかしくないような、
一見わがままにみえる女の子と、その幼なじみの男の子のお話。
そう、簡単に結ばれない、
微妙な関係がなんとももどかしく。
個性の強いキャラクターが突っ走っていながらも、
きっちり3話でまとまっている。
素敵な作品になっています。
ただ、おもーい部分がありますので、
余裕のあるときに……って、他の作品もそうなんですけどね(^_^;。


53頁
「そんなの 仁義に反するでしょ」
「仁…義って…」
「相手が好きな人のこと どうこう言って
 こっちを向かせようなんて
 違うだろ そりゃ」


きっぱり、仁義、と言えるその様に感動しました。
清々しいくらいにまっすぐで、強い。


もちろん、弱くもあって、そのあたりも作中にみえるにしても。
それにしたって、
「仁義に反する」と言い切る様は、
心にぐっとくるものがあって。
それは、今の作品にも繋がってくるもの、だと思うのですよね。
なんとなく、なのですけれど。


わりと初期の短編集、というのは知りつつ読み始めて、
いきなりコレだったので、
石田先生のパーソナリティ、というか、
芯、みたいなものを強く感じたのでありました。

東京ソーダ水

ちくちくと痛い。
東京らしい、人づきあいの薄さと、
ソーダ水の刺激と。


重いものを背負っているのは、
なにも年長者だけではないわけで、
小学生でもずっしり、あるんですよね……。


お互いに受け入れる様が素晴らしく。


ただ、そこに至るまでがしんどいです(笑)。
ここまで描けるのはすごい、と思いますが、
耐性がないと辛い作品なようにも思いますが、
どうでしょう。

『泣きたりない金魚』

タイトル的には重そうなのですが、
この短編集の中では一番、とっつきやすそう、
かつ、わかりやすいエンディングですので、
ここから読むのもアリかしら、と思ったり。


個人的には、オオッ! という展開でした。

『キラキラと、だけど、見えないもの』

ページ数はすくないけれど、
凝縮されたなにか、がそこにある感じがありまして。
そういう悶々としたところが良いな、と。

『天上の缶づめ』

向き合う。
ひたすら、向き合う。


息の詰まるような作品なのですが、
これがデビュー作なんですね……。


なんとなく、
球場ラヴァーズ』にも、
この作品から繋がる軸、芯、があるような。


作家さん、漫画家さんって、すごいなぁ。
と、素直に思いながら、単行本を閉じることができました。


ラストを飾るに相応しい。

まとめ。

あとからファンになるほど、
「デビュー作」という惹句は不安にさせる要素、にも思えるのですが。
『いばら姫のおやつ』は、
まさにルーツ、というか、
良い意味で変わらない芯を感じさせてくれる、
素敵な短編集となっておりました。
アニメがお仕事』『球場ラヴァーズ』に通じる、
ドロドロさと、未来への希望と
個人的には、
『りこん猫』も読んでおくと、
さらにこの作品をみる視点が変わってくるのではないか、
と思うのですが、如何でしょうか。

りこん猫 (ねこぱんちコミックス)

りこん猫 (ねこぱんちコミックス)

私は先に『りこん猫』読んでから、
だったので、
うーむ、と唸りつつ、『いばら姫のおやつ』の頁をめくりましたとさ。
逆なら、それはそれで、
『いばら姫のおやつ』再読の楽しみが出てきそうですけどねー。


何にしましても、オススメ!
ということで締めさせていただきますです。

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