谷川史子先生『谷川史子傑作選 きみのことすきなんだ』集英社 感想。
- 作者: 谷川史子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/02/16
- メディア: 文庫
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谷川史子先生の作品は大好きなのですが、
どうにも『りぼん』の頃のものは年齢のせいもあってか、
なかなか抵抗? みたいものがあって、手をのばせずにいて。
買うんですけどね(^^;)。
そんな気持ちはありつつも、
せっかく手にとれる場所にあるのだから読んでみよう、
と、本棚から引っ張り出したのでした。
瑞々しさ、というか。
対象年齢を考えてのことか、
今の作品からすると無茶にみえるような背景が
あったりしたりしながらも、
確かに今の作品に繋がる芯、みたいなものがみえて。
ということで、所収作品の感想をば。
■きみのことすきなんだ
表題作。
魚屋さんのせがれが、
電車でいつも会う女学生さんに惚れて。
思い切って想いを伝えたら、なんとOK!
で、始まった交際ですが、彼女は魚が大嫌い……。
さすがに、いや、それは、
と中年な私は思ってしまったのですが、
恋の障害が、まさかの魚……
でも、読み進めるうち、これはありかもなー、と。
ちょっとしたすれ違いもありながら、
なんとか着地する様にはほっこり、でした。
■乙女のテーマ
過去に色々あった女の子、
家を背負うことになっている女の子。
それぞれの恋のお話。
前者の方はなんとか掴み取って。
後者は……ちゃんと散る、というか。
どうしようもないコトもある。
それも踏まえて、区切りをつけて次へ向かう強さ。
なんてことを思ったことです。
■騎士のテーマ
これまた大きな家を背負った女の子。
というか、お父さんの影響が大きいのよね。
でも、色々な障害になりうるのって、
過去、家業、家庭……が大きな要素であるわけで。
振り回されつつ、
それでも好きなら、きっと本物なのでしょう。
などと思ったことでした。
■花いちもんめ
メインは、兄が好き。という、キワドイ話。
想い入り乱れ。
ひとりの気持ちではなくて、
様々な人のおもいが積み重なって……。
どうしようもない気持ちを抱えて、
笑って、明日へ。
■早春に降る雪
ラスト5ページが秀逸。
一気に引っ張られる、というか。
わりと最近の作品の読後感に近いかなぁ。
セリフも刺さります。
■緑の頃わたしたちは
お話は最近の作品に近い印象で。
どうしようもないコトに気持ちが阻まれながらも、
ちゃんと立ち上がる姿。
また、踏ん張る、というかね。
谷川史子先生作品に感じる強さ、というか。
何かそのようなものを感じる作品なのでした。