冬目景先生『冬目景作品集 空中庭園の人々』幻冬舎 感想。
- 作者: 冬目景
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2016/04/23
- メディア: コミック
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冬目景先生の新刊『冬目景作品集 空中庭園の人々』。
"作品集"とある通り、短編がキチッと詰まった一冊。
連載作品ではみられないようなシチュエーションが多々ありまして、
単独の作品としてはもちろん、冬目景先生ファンですと、
普段とは違った作品の魅力を味わえるかと思います。
SF風味の作品から妖怪モノ? など、
様々な色合いを楽しめまして、
私としましては大満足! な一冊でございました。
では、収録作品の感想を少し。
■ELEMENT7
最初の作品……なだけに「オオッ!」と驚きつつ。
突飛な展開にもわりと順応している主人公のお姉さんが魅力的で。
男勝り? な性格も○、です。
自然体な付き合いでいつの間にか心通じている風なのも
お姉さんらしくて。
コミュニケーションがなんとも楽しい、
そんな作品でした。
■コビト事情
こびとさんが助けてくれたら……というと、
いつの間にか作業が終わっていたり、
ですとか、そういうものをイメージしがち、ですが。
ちょいとひと捻り、な作品で。
コビトさんも可愛いですし、
なんといってもオチがよくて。
微妙にコビトさんが見えることに悩んでしまう様も
コミカルな風で良かったです。
■Apartment of the Dead
登場しているのは表紙の女性?
唐突な押しかけと締めがなんとも(^^ゞ。
ゾンビモノに関するネタが面白く(笑)。
起こっていること、
巻き込まれている事件自体は暗くなりがちなものに思えますが、
なにしろ押しかけてくる当人がわりとケロリとしていることもあって、
不思議な、静かな可笑しさに満ちていて。
楽しゅうございました。
■夕闇古書市
不思議な古書市に誘われるお話。
古書店街って、
なにかこういう奇妙な世界への入り口がありそな、
あっても違和感なさそうな。
そんな感じ、ありますよね。
書店での出会い、というのも良いですよねー。
■天国のドア
恋愛の心残り。
確かに、この作品みたいな、場面ごとにあるなぁ……
「あのとき、伝えていたら少し変わっていたのかな」って。
そんなことを思いながら頁を捲りました。
■青密花
謎の死を遂げた姉の姿を追う妹の話。
完璧に見えた姉。
知るごとにわからなくなる様がなんとも。
想像しつつ読み進めたものの……
このわからなさと美しさに
どうしようもなく惹かれる……かなぁ。
この短編集で一番好みなのは
"ELEMENT7"のユーコさんですけどね(笑)。