押見修造先生『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』太田出版 感想。
- 作者: 押見修造
- 出版社/メーカー: 太田出版
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ちょっと重そうな気がして、ここまで積み気味だったのですけれども。
実際、タイトルの通りに自分の名前が言えない、
それだけでなく普通の会話も引っかかる、
何より発話するのが大変そうな志乃ちゃんの姿は
読んでいてなかなかにキツイものがあり。
それだけに、そこから友人が出来、
学生生活にも少しずつ加わるようになって、
自らを省みるようにもなり。
一歩ずつ、成長していく、
切り開いていく志乃ちゃんの姿は
とても良かったな、と思ったのでした。
切迫して、自分の中で考えがぐるぐる回って、
緊張してしまって、落ち着こうにも上手くいかなくて、
周りの人にもなかなかわかってもらえなくて……。
感じる視線も、やさしさすらも辛くて。
この感覚が描き込まれているので、苦手な人もいるかもしれません。
私も本当、読んでいて厳しい、
志乃ちゃんに感情移入してしまって。
序盤は、上記のような描写が刺さってきて辛くて。
志乃ちゃんの自分への苛立ちに加え、周囲の反応がとても。
歌、文化祭をキッカケに……って、やっぱり辛いのだけれども、
勇気をもって踏み出していく感じが、
その分、心に沁みるのでした。
お話の着地点もよかったかと思います。
明るく笑い飛ばせる作品ではないですが、
何かしら、残してくれる素敵な一冊でした。